自助共助公助に新しい協助が加わる安心感
もしもの災害時、私たちを守るのは自助―自分でできる備え、共助─近隣住民での連携、公助─公的な支援です。今そこに〝協助〟─民間事業者などの支援が広がっているのをご存じですか。
たとえば民間のビルで毛布や食料などの備蓄品を一般の人向けに用意していること、あるいは避難者の受け入れ施設として使うことを想定して準備していることなどがあります。
今回は防災×SDGsな取り組みとしてEV車の活用を推進する事業を紹介します。
※協助は一般的な表現ではありません。
緊急時の充電はEV車が活躍
災害時、マンションライフで困るのは停電です。特にスマートフォンの充電は心配ですね。
私たちは情報のほとんどをスマートフォンに頼っているため、スマートフォンの充電は命綱と言えます。
そんな中、マンション内にEV車を置いたり、避難所に提供したり、いざという時に活用しようという取り組みがあちこちで始まっています。EV車は非常用電源として電子レンジや電気ポットなど活用法も色々。大容量バッテリーならではの活躍が期待されます。
埼玉県新座市
埼玉県住宅供給公社の取組
住民のみなさんにも期待されるEV車のシェアシステム
普段はシェアカー、いざという時は非常用電源として活用するEV車を賃貸マンションに導入した埼玉県住宅供給公社。その導入理由や活用法を担当者に伺いました。
─なぜ賃貸マンションにシェアカーを?
ここは全100戸以上の大型マンションですが、より住民の皆さんが住みやすい環境をと考えシェアカーの導入に踏み切りました。
―EV車を選んだ理由は?
導入の際、災害時の非常用電源としての活用を考えていたので。もちろん環境への配慮という意味でも当然の選択だと思っています。
―この物件が被害にあったことは?
今まで停電や自然災害による被害にあったことはありません。近隣に大きな川などもありません。ただこのマンションは約100世帯が住む賃貸マンション。昨今の自然災害の増加を鑑み、防災力強化につなげたいとの思いからEV車を導入、敷地内には充電設備を敷設しています。
―シェアカーはどのように使用?
通常は、カーシェアリングサービス「タイムズカー」として提供しています。
―非常時には、どのように使用?
EV車の電源を集会所に供給します。電源はスマートフォンであれば約2000回分のフル充電が可能で、電子レンジや電気ポットなどにも使用される予定です。
―住民の方の反応は?
「停電時にスマホの充電ができるのはありがたい」というご意見をいただいてます。
本格稼働からまだ数カ月ですが、埼玉県住宅供給公社では今後も災害に強い住まいづくりを進めていく予定とのことです。
兵庫県西宮市×日産の取組
いざという時EV車が助けてくれるという頼もしさ
昨年10月災害時におけるEV車からの電力供給に関する協定を日産と締結したという西宮市の活動をご紹介します。
―締結された協定の内容─
西宮市は、災害時に日産大阪販売株式会社、兵庫日産自動車株式会社及び日産自動車株式会社と、災害時等に避難所等への電力の供給に関する協定を結びました。
―締結式の様子―
西宮市役所の敷地内で締結式と試験給電を行いました。
―実際の活動について―
大規模な停電が発生した場合、西宮市の避難所へ日産からEV車が提供される予定です。ちなみにリーフ1台であれば、避難所2日間分の電力を供給できます。
―今後の展望について―
この協定をきっかけに、防災訓練や給電方法の講習など、さまざまな形で西宮市と連携していきたいと日産の理事は語っています。
また西宮市長は市民の皆さんや事業者の方々のさらなる協力を求めていきたいと語っています。(西宮市)
西宮市と言えば阪神淡路大震災で大きな打撃を受け、復旧復興へと苦労をした地域。災害に対する意識も高く、EV車の活用に積極的な姿勢も納得でした。CO2の排出も抑えられ、住民の方の不安も抑えられる。こういった取り組みが全国へと広がることで安心の輪も広がりそうです。
2023.10締結式