2025.02.13★★★

FEATURE 特集 暮らすSDGs

  • 雑誌掲載
9]産業と技術革新の基盤を作ろう

開幕間近!SDGsの達成を後押しする大阪・関西万博の魅力を先取り!

  • 大阪万博
  • EXPO2025

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、4月13日から184日間にわたって大阪・夢洲(ゆめしま)にて開催される大阪・関西万博。
今回は「─People's Living Lab─未来社会の実験場」をコンセプトにした同万博の見どころをお伝えします。

目次

未来の技術が集結!ともに学ぶ万博

 今年4月から10月にかけて、いよいよ2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開催される。2025年日本国際博覧会協会 広報部の山城成広氏は、その開催目的について次のように説明する。

「万博の主たる目的というのは、テーマパークや商談を目的とした見本市と違って〝公衆の教育〟とされています。〝公衆の教育〟と聞くと堅い印象を受けますが、つまりは来場いただく皆さんにも参加していただき、楽しみながら世界と未来を知るきっかけをつくるイベントが万博です。そしてSDGs達成といった世界共通の課題とそれを解決するための技術や知恵をひとつの場所に集めて、みんなで共有したり考えたりしながら解決策を探っていくことが万博の目的です。

 また、万博は世界中から人々が集まるということで、ビジネスや経済交流の場でもあります。少し先の未来の技術を積極的に採用することで、未来社会を実現するためのひとつのきっかけとしています。 同時に、大阪・関西万博としては大阪や関西の魅力を世界へ伝えることも目指しています。大阪に集まった経済の活力やビジネスの種を大阪だけにとどめるのではなく、日本全体へと広げていくことで、日本をさらに盛り上げていきたい」


 世界中から集まった最先端の技術や文化は、それぞれのパビリオンなどで展示される。本特集で紹介するように、日本を代表するプロデューサーや企業、世界各国が手がけるパビリオンだけでもかなりのボリュームとなる予定だ。山城氏はその注目ポイントを次のように挙げる。

 「まず来場者の方に楽しんでいただきたいのが、会期中毎日行われるイベントです。例えば、開幕日となる4月13日のオープニングイベントでは佐渡裕さんが指揮する『1万人の第九 EXPO2025』やAdoさんのスペシャルライブが開催されます。また、各国が日ごとに行うナショナルデーではその国の特色を打ち出した催しが打ち出されるなど、とにかくイベントが目白押しなんです。

 そして、会場のシンボルである1周約2㎞にもおよぶ世界最大級の木造建築物『大屋根リング』やユニークなデザインのパビリオンといった、見るだけでも楽しめる建築物がたくさん並びます。ほかにも、世界中から各国の食が集まってくるので、1日では到底食べ切ることはできません。

 会期中はぜひ何度も万博に足を運んでいただきたいですね」〝万国〟 というだけあって、ひとつの会場で世界各国の文化を体験できる万博は「もはやちょっとした世界旅行」だと、山城氏は言う。会場には30言語に対応した多言語自動翻訳アプリも導入され、国際的なコミュニケーションが活発に行われる姿が目に浮かぶ。

70年大阪万博から引き継がれた思い

 また、今回の万博は、1970年に開催された大阪万博から55 年ぶりに大阪で開催される登録博ということでも注目を集めている。70年大阪万博といえば、芸術家・岡本太郎による「太陽の塔」を象徴として、その影響を受けて数多くのビジネスや技術、エンターテインメント作品が生まれるほどの盛り上がりを見せた。今回の大阪・関西万博でも、70年大阪万博で話題を呼んだ「人間洗濯機」が新たに生まれ変わるかたちで「ミライ人間洗濯機」として出展を予定していたり、公式ロゴマークや公式キャラクターの「ミャクミャク」がかつての桜のロゴマークをオマージュしたものであるなど、55年の時を超えてそのレガシー(遺産)を引き継いでいる点にも注目だ。パビリオンのプロデューサーやデザイナーのなかには、70年大阪万博に大きな影響を受けた世代も多く、まさに老若男女、三世代あるいは四世代にわたって楽しめる一大イベントとなっている。

 ぜひ本特集を読んで、みなさんも世界各国の魅力あふれる大阪・関西万博へと足を運んでみてはいかがだろうか。

SDGsを達成するためのキーワードは「Society5.0」

 大阪・関西万博がめざすものとして、「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」と「日本の国家戦略Society5.0の実現」が掲げられている。国連が提唱するSDGsは2030年までの達成を目標としており、より加速的に取り組んでいくための場として、大阪・関西万博は期待を集めている。また、日本の国家戦略である「Society5.0」とはサイバー空間と現実空間を融合させた人間中心の社会であり、カーボンニュートラルや次世代モビリティ、デジタル技術、サステナブルな運営体制をふんだんに盛り込んだ今回の万博はその未来予想図ともなっている。SDGs の達成とSociety5.0の実現を単なる夢物語では終わらせないために、万博が果たす役割は大きい。

国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」達成の目標年は2030年。残り 5年となった今、大阪・関西万博がその達成に向けたプラットフォームとなり、 実現に向けた取り組みを加速させる

注目の海外パビリオン

大阪・関西万博では51カ国が独自のパビリオンを建設。そのなかから、ENTLINK編集部が注目する3つをピックアップ。

万博会場最新MAP

画像はイメージです。実際の会場とは配置・建物形状が一部異なる場合がございます。また本画像の無断転載・複製は一切お断りします。 提供:2025年日本国際博覧会協会

🅐サウジアラビア

大阪・関西万博に続く2030年の万博開催地として、並々ならぬ意気込みを感じるサウジアラビア館。テーマは「より良い未来のために一緒に」だ。同国の伝統的な市場「スーク」を彷彿とさせる空間デザインの中を散策することで、サウジアラビアの文化に触れられる。小さな旅行気分で、最新のサウジアラビアの空気を感じることができるだろう。

🅑中国

「自然と共に生きるコミュニティの構築-グリーン発展の未来社会-」をテーマに掲げ、書道の巻物を広げた形の竹をふんだんに使用した建屋が印象的な中国。会期中には中国の各省が直轄してのイベントや展示が毎週ごとに行われる予定となっており、毎週違った様相を見せてくれる。自省を盛り上げようと各省が競い合うことで、相当な意気込みとなるのは必定。それぞれの省の違いを知るのにも絶好の機会といえる。

🅒オーストリア

楽譜をモチーフにした螺旋状のオブジェが目を引くオーストリアパビリオンのテーマは「オーストリア:未来を作曲」。ウィーン少年合唱団などが有名な同国は大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を音楽で表現するとして、どんなものとなるのか、期待が高まる。同国の伝統菓子も楽しめるたりと、目だけではなく耳や口でも楽しめるパビリオンとなりそうだ。

注目の国内パビリオン

国や大阪府・市などが出展する6つの国内パビリオンに加えて、民間の13企業・団体によるパビリオンが展開され、いずれも見どころが盛り沢山だ。

🅓パソナ館

「いのち、ありがとう。」をコンセプトにした同パビリオンの中でも、最も注目を集めるのはiPS 細胞の技術を活用した『iPS 心臓』だ。培養液中でiPS 心臓が実際に拍動する様子が見られるとのこと。また、パビリオンのナビゲーターは鉄腕アトムやブラック・ジャックといったマンガ家・手塚治虫のキャラクターが務めるなど、最先端医療テクノロジーを興味深く体験できる。

🅔大阪ヘルスケアパビリオン

「REBORN」をテーマにした同パビリオンでは、パーソナルヘルスレコード(PHR:個人の健康等に関する情報)に基づいた25年後の未来の自分のアバターと出会えるそう。”ミライの自分”と共に、未来のフードや都市、ヘルスケアを堪能しよう。さらに、ARグラスといった先端技術を用いた没入空間「XD HALL」では、人気ゲーム『モンスターハンター』の万博限定コンテンツも楽しめる。

🅕日本館

デザイナーの佐藤オオキ氏が総合プロデュースを手がける日本館は、外観から同氏が手がけたTOKYOオリンピック2020の聖火台を彷彿とさせるデザインとなっている。1万平米を超える面積の巨大建築はまさに圧巻。また、前回のドバイ万博でも活用されたバイオガスプラント技術によって、会場内で出たゴミを同地で再生する循環の仕組みを備えているのも特徴だ。

未来を変える注⽬の研究者が集結!シグネチャープロジェクトとは

 70年の大阪万博における「太陽の塔」に相当するシグネチャープロジェクトは、「いのち」をテーマに各分野で著名な8人がそれぞれプロデュースするパビリオンを設けるという、大阪・関西万博の中心的なコンテンツだ。今回紹介した5つのパビリオンのほかにも、データサイエンスと医療を掛け合わせた慶應義塾大学医学部教授・宮田裕章氏、数学研究者で音楽家の中島さち子氏、カンヌ国際映画祭の受賞経験のある映画作家・河瀨直美氏がプロデューサーとして参加している。パビリオンの外観から中で楽しめるコンテンツまで、八者八様の多彩な展示を通じて、来場者が持ついのちの概念をアップデートしていく。

THEME:いのちを拡げる

いのちの未来

⽯⿊浩 ⼤阪⼤学教授

「いのちを拡げる」というテーマを展開するのは、ロボット工学の第一人者で大阪大学教授の石黒浩氏が手がけるパビリオン。黒い外観は水に包まれており、水のベールを潜り抜けて「いのち」の未来をたどる旅を体験できる。
石黒氏が展開するロボット哲学の下、人間とロボット、アンドロイドとの距離を近づけることでいのちの可能性を拡げていく。約20体のアンドロイドと約30体のロボットを展示し、人間が科学技術を使ってどのようにいのちの可能性を拡げてい
くか、50年後にどのような生活をしているかを見られる。

THEME:いのちを拡げる

いのちの未来

小山薫堂 放送作家/京都芸術大学副学長

テレビ番組『料理の鉄人』や映画『おくりびと』などで知られる放送作家・小山薫堂氏がテーマに据えるのは「いのちをつむぐ」。食文化やその進化に焦点を当て、我々が普段食べているものと命の関わり、「いただきます」の言葉の意味などを考えさせるパビリオンとなっている。パビリオンの中は未来のスーパーマーケットを思わせる造りで、建物のデザインは世界的建築家の隈研吾氏が担当し、阿蘇草原などの茅を使った茅葺き屋根が特徴だ。改めて、食の大切さを学び、考えるきっかけになってくれるだろう。

THEME:いのちを磨く

null²

落合陽⼀ メディアアーティスト

メディアアーティスト・落合陽一氏がプロデュースする「null²」のテーマは「いのちを磨く」。特殊な合わせ鏡によって、デジタルの身体とフィジカルの身体を新しい形で見せる現代アート空間が広がる。3Dスキャン技術から生まれる自分のアバター(デジタルヒューマン)と生成AI による会話などを通じて、自らのデジタルヒューマンが空間へと反映され、来場者に新しいいのちの形を問いかけることとなる。パビリオンの外観も鏡のような造形で、落合氏の独特の世界観に没入することができる。

THEME:いのちを知る

いのち動的平衡館

福岡伸一 生物学者/青山学院大学教授

書籍『生物と無生物のあいだ』などで知られる生物学者・福岡伸一氏が「いのちを知る」のテーマの下、プロデュースした「いのち動的平衡館」では、同氏が提唱する” 動的平衡”の概念にふれることができる。約32万個ものLEDによって細胞分裂や生物の誕生の様子を描いた光のインスタレーション展示「クラスラ」が大きなみどころ。幻想的な光があふれる空間で何十億年もの生命の歴史を体感できるパビリオンの外観は、細胞を思わせる大きな膜に包まれたような形状が目を引く。

 

THEME:いのちを育む

いのちめぐる冒険

河森正治 アニメーション監督

アニメ『マクロス』シリーズなどで世界的に知られるアニメーション監督・メカニックデザイナーの河森正治氏がプロデューサーを務める。カメラ付きVRで体験する生命物語や、4mの巨大ビジョンを使った映像体験や全身で感じるミュージカルなど、河森氏ならではのスペクタルを楽しめる。また、「いのちの礁」をコンセプトにしたパビリオンの建材には大阪湾の海水を100%使った海水練りコンクリートが採用されているほか、スタッフの制服は海洋マイクロプラスチックを排出しにくい素材で出来ていて、パビリオン全体がサステナビリティに富んだものとなっている。

  

未来社会ショーケースで見せる新たなコミュニケーションの可能性

 未来社会ショーケースとは、大阪・関西万博のコンセプトが「未来社会の実験場」であることを踏まえて、万博の会場全体で未来社会の姿を実現しようとする試みだ。ここでは「スマートモビリティ」「デジタル」「バーチャル」「アート」「グリーン」「フューチャーライフ」といった6つの分野が挙げられ、万博会場の至るところで実験が行われている。

 例えば、「グリーン」であればCO2を利用した道づくりやカーボンリサイクル技術によるエネルギーの循環システムであったり、「バーチャル」では3DCGで再現されたバーチャル会場の展開、「デジタル」では自動翻訳システムや安全な公衆無線LAN環境などが提供されている。中でも特に未来社会を感じられる例として、前出の山城氏は「スマートモビリティ」を示す。

未来社会ショーケースで見せる新たなコミュニケーションの可能性 「万博の期間中には、会場内外をつなぐ2地点間や会場湾岸周辺エリアでの空飛ぶクルマのデモフライトが行われます。また、実際に来場者の交通手段としては、通常の電車やバスだけでなく、水上交通を利用することができますが、中之島など大阪市内中心部と夢洲をつなぐルートで水素燃料電池船の運航を予定しています。万博史上でも類を見ない海に囲まれた会場ならではの移動手段であり、スマートモビリティの実例として期待されています。 さらに、会場では走行しながら自動給電する最新鋭のEVバスに乗ることができます。会場内外の決められたルートにある地面に埋め込まれたコイルを通じて給電されるので、充電の必要がなく、さらには自動運転技術も活用したEVバスの大規模な実証実験が行われるのです」

 パビリオンだけでなく、万博会場の中に身を置くだけでも、これから到来が期待される未来社会の姿を垣間見ることができる。未来の形を自分の目で見て体験することで、その分、思い描ける夢も大きく広がっていくはずだ。

 

執筆者

ENTLinK+PLUS編集部(編集部)

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