「FOMM ONE」の開発の経緯を教えてください。
佐藤
「東日本大震災による津波被害です。『水に浮く自動車があれば救える命があったのではないか』という想いがあり、水に浮く電気自動車の開発がスタートしました。モーターに防水加工が施されており、水中でもゆっくりと進み、方向も変えることができます。実験では水面が凪いでいる状態で24時間以上浮いています。
すごい!ところで超小型ですが4人乗りにこだわった理由を教えてください
佐藤
「日常での用途のほか、災害時に家族全員が一緒に逃げられるようにという想いからです。『家族を災害から守れる車に』というのがコンセプトでもありますね。室内空間もできるだけ広くしており後部座席にはベビーカーも乗せられます。乗り降りのしやすさにも配慮しました。」
後部の窓が開くためお買い物した荷物の積み込みもラクラク
一方でランニングコストも気になります。一回の充電で何km走りますか?
佐藤
「フル充電で約166kmです。夜間に充電ができるので一回で数百円とガソリン車よりランニングコストがかかりません。取り外し可能なリチウムイオン電池を採用していますので、非常時には電源として使用することもできます。また点検箇所が少ないためメンテナンス費用が抑えられるのも特徴です。」
通常の充電に加え街中等に設置を進めている専用ステーションでバッテリー交換が可能
カーシェアリングもスタートしているそうですね。
佐藤
「主に近距離の移動に使用していただいています。コンパクトな車体ですから家の前の道や駐車場が狭い方に喜ばれていますね。縦列駐車もラクにできます。ちょっとした荷物は後部の窓が開くようになっていますので、そこからの出し入れが可能です。」
パドルでのアクセル操作も特徴的です。ゲームのリモコンのようですね。
佐藤
「楽しく運転できるようにこの形なんです。運転に慣れていない方が先入観なく操作できるかもしれません。運転席の足元にはブレーキペダルしかないのでアクセルの踏み間違えもなく、パドルも手を離せばスピードが落ちます。高齢者の方にもお薦めですね。」
アクセルはステアリングの両側にあるパドルで操作する。足元はブレーキだけ
ペーパードライバーの私でも運転にチャレンジしたいと思いました。
佐藤
「走行性やハンドルの駆動などにもこだわっているので操作もしやすいと思います。スポーツカー好きのメンバーが関わっていて、運転を楽しみたい方にも満足していただけるよう開発しています。「FOMM ONE」の最高速度は80km、軽自動車登録ですので高速道路や自動車専用道路も走行可能です。」