2024.02.07★★★

娯楽

若者のクルマ離れは本当?昭和と令和の対比で読み解くカーシェア普及の背景とは?

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近年、よく耳にする「若者の○○離れ」。
そのなかのひとつに「若者のクルマ離れ」があります。

はたして、本当に若者のクルマ離れは進んでいるのでしょうか?
今回は、「令和の自家用車事情」について考えてみたいと思います。

目次

若い男性のクルマ所有率は低下傾向

国土交通省が調査した単身勤労世帯の自動車普及率※によると、若者(30歳未満)の男性では、1999年から2009年の間に63.1%から49.6%へと13.5ポイントも大きく減少しています。
興味深いのは、同じ期間・年代の女性については42.7%から43.6%へと0.9ポイント増加していることです。

一方、運転免許の保有率については10代及び20代でやや低下傾向にあるものの、2011年でも30代では9割以上が保有しており、若者の運転免許の取得意欲が弱まっているとは一概に言い切れないようです。

これらのデータから、若い男性の「自家用車を所有する」意欲が低下していること、旅行などの単発的な機会に自動車を「利用する」意欲には明確な変化が見られないことが読み取れますね。

※出典:国土交通省 国土交通白書 平成24年度版「30歳未満の単身勤労世帯の自動車普及率の推移(男女別)」

かつては「デートカー」なんて言葉も……

「かっこいいクルマを持っていないと、女の子とデートに行けない……」
かつて、日本の若い男性にとって、クルマは女性とデートするための「必須アイテム」という風潮がありました。
まさに昭和の高度経済成長期にあって、庶民にとっては自家用車を徐々に上級車に買い換えていくことが、日々の仕事や生活の糧でもあった時代です。
マイカーが若い男性にとってのステータスシンボルであった象徴的な存在が、俗に「デートカー」と称されたクルマたちの存在でしょう。
代表的な車種としては、ホンダ・プレリュード(2代目・3代目)や、日産・シルビア(5代目)が挙げられます。
いずれも1980~90年代にかけて絶大な若者人気を誇りましたが、バブル崩壊と時を同じくするかのようにモデルチェンジした後継モデルは販売が振るわず、今では両車種ともメーカーのラインナップから姿を消してしまいました。

今では「デートカー」なんて言葉自体が聞かれなくなりましたが、若者のクルマに対する考え方も、2000年代に入る頃から徐々に変化していったと言えそうです。

若者にとって車はあくまでも移動手段のひとつ

2000年に入る頃から、クルマを公共交通機関も含めた移動手段のひとつとして捉えたり、必要な時はレンタカーや親のクルマを借りれば良い、という割り切った考えを持つ若者が増えていきました。
この志向の変化は、クルマの保有形態が個人専用から家族との共有にシフトする形で現れています。
国土交通省調査によると、自家用自動車のうち1999年には81.4%だった個人専用車の割合が、2010年には66.8%まで減少しているそうです。

その背景には、複数の要因が絡み合っているように思われます。
まず、経済的な理由が挙げられます。
クルマを所有することは、高額な購入費用だけでなく、維持費やガソリン代、駐車場代など、付随して多額の出費を伴います。

モノよりも体験を重視する傾向にあるデジタルネイティブ世代の若者にとって、クルマを持つためのコスト負担の大きさに魅力を感じなくなるのは、自然な流れかもしれません。
また、世界的な環境意識の高まりも無関係とは言えないでしょう。

交通・渋滞

カーシェアリングサービスの普及

クルマの「所有」にこだわらず、必要な時だけ「利用」したい。
このニーズを満たすサービスとしては、店舗型のレンタカーが一般的でした。
しかし、近年ではカーシェアリングの利用も進んでおり、若者を中心に人気を集めています。

カーシェアリングは、必要な時に必要な期間だけクルマを借りることができるサービスです。
このシステムの最大の魅力は、所有するよりも経済的であること。
さらに、予約から返却までアプリ一つで完結するので店舗の営業時間を気にする必要がなく、利用料金も時間単位で支払うため、無駄がありません。

カーシェアリングの事業者数、車両数、貸渡拠点数は、年々大きく増加しています。
以下、いくつかのサービスをご紹介します。

カーシェアサービス3選

タイムズカー

時間貸し駐車場運営会社として有名な、パーク24株式会社のグループ企業が手掛けるサービスです。
初期費用と月額料金がかかり、利用料金が他より高いというデメリットはあるものの、ステーションの数が圧倒的に多いため、どこに住んでいても利用しやすいのがこの「タイムズカー」です。
利便性という意味では、非常に優れたサービスと言えるのではないでしょうか。

楽天カーシェア

「楽天カーシェア」は、楽天グループが運営するカーシェアサービスです。 入会することで、「オリックスカーシェア」と「カリテコ」という二つのカーシェアサービスを全国で使えるようになります。 各カーシェアに個別に入会するよりおトクになるほか、楽天ポイントも溜まるので楽天ユーザーには嬉しいサービス。 このようにポイント経済圏の一環となる形態も、今後の発展が楽しみですね。

アースカー

「アースカー」は2011年に設立された、業界初のフランチャイズ制カーシェアリングサービスです。
料金体系は一律ではなく、車ごとに設定されているので、時間帯や曜日によってはとてもオトクに利用できます。
ユニークなのが、キャンピングカーやスポーツカー、輸入車など非常に個性的な車種も借りられること。
「家族共用のクルマは所有しているけれど、趣味性の高い車種はとても買えないな……」と嘆いている方も、レジャー用途で試してみてはいかがでしょうか。

乗ってみると感じるクルマの魅力

最後にもう一つ、面白いデータをご紹介します。 タイムズ24株式会社のアンケート調査※によると、カーシェアリング利用前後で「将来的にクルマを購入したいと思う」と答える人の割合の変化は、若者ほど高くなっているそうです。
10代・20代の年齢層では、カーシェアリングを利用する前に「クルマの購入意欲あり」と答えた割合が49.9%に対して、利用後には86.2%に上昇しているとのこと。
(50代以上では利用前の24.2%が利用後33.5%に変化)
このデータを見ると、若者が実際にクルマを使用して便利さや楽しさを体感することによって、将来的に「やっぱり自分のクルマが欲しいな」と思うようになる可能性は大いにあるかもしれませんね。

極端ではありますが、「どうしても古いフェラーリが好きなんだ!乗り続けるためなら衣・食・住はどれだけ切りつめてもかまわない!」という考え方にも、それはそれで共感できます。
あくまでも人により……ではありますが自動車には確かに、情熱を傾けるだけの魅力があると思います。
時代は変わるとは言っても、クルマ大好きな若者が一定数存在するのも確かなのですから。

※出典:「【タイムズ24】カーシェアリングを始めるとクルマが欲しくなる!?~カーシェアリングアンケート調査を実施~」

多様な選択肢を活用して、豊かなカーライフを!

「若者のクルマ離れ」が、今後も話題として取り上げられ続けるかはわかりません。
むしろ、かつての若者たちのクルマへの熱狂ぶりの方が特殊だった、と言うべきなのかもしれませんよね。

しかし、クルマを「所有する」意欲の変化やテクノロジーの進歩を考えると、様々なカーシェアリングサービスがより身近なものとして今後ますます普及していくことは、十分に予想できるのではないでしょうか。
今後の発展に注目しつつ、上手に活用していきたいところです。

いずれにしても、便利で魅力的な選択肢が増えるのは、私たち一般消費者にとっては歓迎すべきこと。
自分の価値観を大切に、充実したカーライフを送りたいですね。

執筆者

ENTLinK+PLUS編集部(編集部)

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