2024.11.12★★★

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LET’S TRY ! 金継ぎ体験

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大切なものを長く使い続けるために、壊れた器を修復する「金継ぎ」を体験!

目次

割れてしまったらさらに思い入れを持てる器として再生させる「金継ぎ」を体験

 大切なものを長く使い続けるために、壊れた器を修復する「金継ぎ」は、SDGsの観点からも注目されています。壊れたものが元に戻る満足感だけでなく、日々の忙しさから離れて器とゆっくり向き合い、思い出をたどることで心も満たされます。今回は、元の風合いを活かして手軽に器を修復できる、「簡易金継ぎ」の体験会を実施しました。 

そもそも「金継ぎ」とは?

 金継ぎ(きんつぎ)は、室町時代から受け継がれる日本の伝統的な器の修復方法です。割れたり欠けたりした器を天然の接着剤である漆(うるし)で修繕し、継ぎ目に金紛の装飾をほどこすことで、傷跡をも美しく愛でる楽しみ方ができます。金継ぎには大きく分けて伝統的な「金継ぎ」と「簡易金継ぎ」があります。

簡易金継ぎの特徴

 伝統的な金継ぎは、技術の習得も、それぞれの工程も時間がかかります。また、漆の扱いは難易度が高い上に、肌がかぶれる心配も。今回体験した簡易金継ぎは、かぶれにくく表面が硬化しやすい新うるし(ウルシ科の植物を主成分とした釣り具塗装の合成塗料)を使用。簡易金継ぎは手軽にできることからも注目を集めています。

金継ぎを体験しようと思った理由は?

 参加者の皆さんに今回の体験会に参加した理由を聞いてみたところ、「金継ぎの歴史などを知って興味をもった」という人や、「絵を描くことやものづくりが好き」「今後役立つのではと思った」という人、「アクシデントで食器が何枚も割れてしまったので」「同じお皿が2枚あったので、1枚を金継ぎして気分を変えてみようと思った」という実務的な人まで、さまざま。
 講師の諏訪先生のもとに通う生徒さんの中には、勤務先の施設で破損した食器を持ち帰り、金継ぎをして施設に戻しているというサステナブルな活動をしている人もいるそうです。

テーマを決めると思い入れが深まる

 金継ぎというと、その名前から金のイメージが強いですが、簡易金継ぎでは、金、銀、黒、赤、青、黄、緑、もしくはそれらを混ぜて色を作ることもできます。諏訪先生によると、作業に入る前に、テーマを決めるとよいのだとか。「思いをもって作ることで、仕上がりも見え方も違ってきます。ひびを蛇に見立てたり、欠けに合わせて丸をひょうたんにしても素敵です」(諏訪先生)。

講師:諏訪 美和子さん
お洋服とうつわと珈琲豆のセレクトショップ Riyon(埼玉県熊谷市)代表今回の体験会で使用した道具をご紹介します。

道具や材料は、身近な所で手に入る物ばかり

 簡易金継ぎの道具はホームセンターやインターネット販売等で入手しやすく、スターターキットも販売されています。最低限必要なものを揃えると、予算はだいたい5000円程度。
 合わせて、道具としては、耳かきのような、小さなさじ状のものがあると、新うるしやうすめ液の割合を見ながら混ぜるときに、目安を見定めやすいようです。

いよいよ体験開始

 諏訪先生が示してくださる手順に沿って、割れを接着し、欠けた部分をパテで埋めていきます。
 「接着剤は少しぎしぎしとゆらして、ぴたっとはまるところで固定しましょう」そんな先生の声掛けを聞きながら「つける順番を深く考えずに進めていたら、手元に小さな破片が残ってしまった」「ひびを埋めるのは簡単だけ
ど、欠けたところを再現するのが難しい」など、皆さん試行錯誤している様子。難しさを感じながらも着々と作業は進み、器の形が戻っていきます。

アートな作品が続々と誕生

 パテが乾いてやすりをかけたら、いよいよ新うるしを塗る作業です。器の色やテイストに合わせて新うるしの色味を決め、アレンジしていきます。割れた線のとおりに細い線でなぞると、ひびに合わせたゆらぎが美しく、器は繊細な印象になっていきます。
 「筆を使うときが緊張しました」「集中して几帳面に描くのもいいけれど、雰囲気で描くのも悪くないです」など、仕上がりに近づいた開放感で、会全体が盛り上がりを見せていました。

体験を終えて、参加者より

 「SNS で金継ぎを見て、いいなと思っていました。想像どおり難しいけど楽しい」
 「こうやって直すと食器を大事にするようになるので、子どもの教育にも役立つと思います」
 「同じお皿でも、線の違いや、塗る色の組み合わせを変えると、全然違う印象になる。こういうところが面白いです」
 「思っていたより、いい感じに仕上がりました」
 「器の色から星空をイメージしました。ホタルも合いそうだと思って、描き足してみました」
 参加者の皆さんそれぞれ、違う視点から金継ぎの楽しみを見つけていました。

講師諏訪先生から

 金継ぎは、ただ元の形に戻すだけではなく、そこに新しい景色を作り、不完全なものに美を見つけることのできる、日本人の感性が活きた修復の楽しみ方です。
 完璧なものは美しいですが、修復された姿もまた、ものを大事にする心や、経年から生じる趣を感じられるもの。細かく割れてしまった破片は、箸置きやピアスなど別のものにして楽しんでもいいですし、器の破片を組み合
わせて新しい器を作ることもできます。
 工夫次第で思い出の一部分を残していけるのも金継ぎの醍醐味ですね。

生まれ変わった思い出の器で「食」を楽しむ

 今回の簡易金継ぎ体験会では、手軽にできる器の修復方法を学び、もとの器を活かした世界に一つだけの作品を作ることができました。
 ものを大切にする日本人が生んだ手仕事に、こんなにカジュアルに取り組めることは大きな喜びで「また金継ぎをやってみたい」という声も多く聞かれました。参加者の皆さんも大満足。新しい命を自ら吹き込んだ器で、いつもの食事をより一層おいしく、もっと素敵にいただくことができそうです。

金継ぎの手順

01

割れや欠けの箇所を確認する
細かいヒビが入っていると、直したつもりでも漏れることがあります。

02

割れた部分を接着する
アルテコ接着剤を割れ面に塗り、少しの間力を加え、マスキングテープで固定します。

03

欠けた部分を埋める
補修用パテをよく練り、欠けた部分に埋めていきます。パテが硬化する前に、早めに。

04

やすりがけで余分なパテを取り除く
パテが固まったらやすりを小さく折り、水をつけ、器に傷がつかないようにこすります

05

ヒビやパテに新うるしを塗る
新うるしに金属粉を1:1の割合で混ぜ、うすめ液を垂らして更に混ぜ、筆で塗ります。

      

06

2~3日乾燥させる
十分に乾燥させたら完成です。洗うときはやわらかいスポンジで。
※電子レンジ・食洗器は使えません。

今回の体験会で使用した道具をご紹介

•新うるし
•うすめ液
•金粉(真鍮)
•エポキシ接着剤
•エポキシパテ
•絵筆
•絵皿
• 紙やすり(400番、
1000~1500番)
•マスキングテープ
•水
※このほか、カッターナイフや楊枝棒などがあると便利です。

執筆者

ENTLinK+PLUS編集部(編集部)

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