2025.06.18★★★

FEATURE 特集 暮らすSDGs

  • 雑誌掲載

ETHICAL LIVING

廃プラスチック循環ゴミ袋「FUROSHIKI」身近なエシカル消費のかたち

  • 廃プラスチック
  • 資源循環
  • 環境問題
  • エシカルライフ

利便性の高さから生活のあらゆる場面で使用されてきたプラスチック。その廃棄による環境汚染が深刻化しています。
物流現場等の使用済みストレッチフィルムから作られるゴミ袋「FUROSHIKI」を展開 する株式会社サティスファクトリーの視点をヒントに、
日常の小さな選択が環境問題解決につながる可能性を探ります。

目次

「FUROSHIKI」が生まれた理由

 「私たちは『社会を100年先に繋ぐ』という思いを持っています。環境問題に対する行動そのものをビジネスとして追求し、その収益を次なる挑戦に投じることで、持続的な取り組みの循環を築いています」
そう語るのは、廃棄物管理やリサイクル支援に取り組む株式会社サティスファクトリーの広報担当、梅田弘香さん。

「環境問題解決企業」を掲げる同社は、廃プラスチックを %使用したゴミ袋「FUROSHIKI」を開発し、環境配慮に参加しやすい仕組みづくりに取り組んでいます。
 FUROSHIKIが 誕生したのは2020年。その背景には国際的な廃プラスチック問題がありました。

 「それまでは汚れた廃プラスチックでも日本から中国を中心としたアジア諸国に輸出できましたが、2019年にこれらが国際条約によって規制強化されました。プラスチック廃棄物の行き場がなくなり困っているという声が私たちのもとに集まり、国内で循環させる仕組みを作れないかと考えたのがきっかけです」 特に現場であふれかえっていたのは、物流などで使われる「ストレッチフィルム」。荷物を梱包する際に使われたこの透明なプラスチックフィルムを回収し、ゴミ袋として再生させることを考えました。
「誰もが使うけれど、誰も意識せず選んでいるゴミ袋に着目しました。そして、このゴミ袋をゴミから作るという製品開発にこだわったのです」

 この「FUROSHIKI」という名前には特別な思いが込められています。「社内で商品名を公募した時、ある社員から『風呂敷』という案が出ました。剣道経験があるその社員は、大切な道具を風呂敷に包むいう習慣があったそうで。『ゴミ袋だけど、中に入るものも大切な資源だという意識を持ってほしい』という思いに共感が集まり、FUROSHIKIという名前に決定ました」

 日本の伝統的な包みの文化である風呂敷のように、資源を包み、循環させる̶̶そんな願いが込められたネーミングです。
開発当初は、再生材ならではのにおいや強度など使用感において試行錯誤がありましたが、現在では一般的なゴミ袋と変わらない品質を実現しています。「再生材」という言葉は定義が曖昧で、単に所有者が変わっただけの新品も「再生材」と呼べてしまう現状があります。
そんな中で、使用済みの捨てられるはずだったゴミから再生したFUROSHIKIは、本物の資源循環を実現しているのです。

二つの環境問題が 「選ぶだけ」で変わる未来

 「FUROSHIKIは使うだけで二つの環境問題解決に貢献できる点が大きな特徴です。一つは地球温暖化。本来なら燃やされるはずだったプラスチックを再利用することで、CO2排出を削減できます。もう一つは海洋プラスチック問題です」ゴミ袋のサイズや厚みに応じてCO2排出削減の効果は数値化されており、1箱あたり約18kg〜45 kg相当の削減につながるといいます。

 「これまでの実績では2・3万トンの削減を達成しています。これは約4300世帯が1年間に排出するCO2量に相当します。また、杉の木に換算すると約168万本分のCO2吸収量に匹敵します」

 何かを我慢したりしなければならない印象がありますが、FUROSHIKIは「ごみ袋を替えるだけ」で貢献できる点が画期的です。通常のゴミ処理では、ポリエチレンという材を1kg燃やすと3・14kgのCO2が発生します。それを燃やさずにリサイクルすることで、大きな削減効果が生まれるのです。
 現在、同社は年間5000トンのCO2削減を目指す「CO25000t削減プロジェクト」を展開。これまで捨てられていた廃プラスチックを再資源化することで、着実に成果を上げています。

みんなで拡げる循環の輪 教育から地域イベントまで

 FUROSHIKIはBtoB市場が中心でしたが、少しずつ一般消費者との関わりも拡がっています。
 栃木県那須塩原市では、子どもたちがペットボトルのキャップを集め、その再生材を使ったFUROSHIKIを作るプロジェクトを実施。2週間で2万個ものキャップが集まり、それが5%の配合率でFUROSHIKIに生まれ変わりました。集めたキャップがゴミ袋となって戻ってくるという体験は、「自分の行動が資源循環につながる」という実感を得るきっかけにもなっています。

 「ペットボトルキャップはワクチン支援の一環として集めることがあっても、それが何に生まれ変わるか目に見えることは少ないです。FUROSHIKIは実際に手に取ることができるので、資源循環を体感できる教材になっています。」

 また大阪では、万博記念公園で開催された駅伝イベント「ACNEXPOEKIDEN2025」に協賛。ジョギングしながらゴミを拾う「プロギングツアー」でも、FUROSHIKIが使用されました。
55kmの駅伝コース沿道では清掃活動も行われ、その現場を支えたのもFUROSHIKIです。

 サティスファクトリーの取引先企業の中には、自社で購入したFUROSHIKIをノベルティとして顧客へ提供するケースも増えています。
「この素晴らしい取り組みを自分たちのお客さんにも知ってほしい」という思いのバトンによって、環境意識の輪が少しずつ拡がっているのです。

「地道ながらも、なぜこの取り組みが必要なのか、FUROSHIKIを選ぶことで環境にどう影響するのかを日々伝えていくことが大切だと考えています。そこから少しでも関心の幅が拡がるきっかけになれば嬉しいですね」(梅田さん)

COMPANY  PROFILE

株式会社サティスファクトリー  

サティスファクトリーは、「社会を100年先に繋ぐ」を理念に、廃棄物管理やリサイクル支援に取り組む企業です。カフェ経営からスタートし、廃棄物処理の課題を機に環境ビジネスへ転換。廃プラスチックを99%使用したゴミ袋「 FUROSHIKI」の開発など、環境に配慮した事業を展開しています 。

公式HP https://www.sfinter.com/

執筆者

ENTLinK+PLUS編集部(編集部)

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