ベランダ菜園を始める時に気を付けたい事とは?
ベランダで家庭菜園を始めようと思ったら、まずはお住いのアパート・マンションの規約を確認することが重要です。
規約によっては、植物の種類や栽培方法、プランターの使用に関する制限が設けられている場合があるからです。
利用規約に反しない範囲であっても、非常用はしごなどの避難経路を塞がないようにしたり、ベランダから土や落ち葉、水やりの水滴などが階下に落ちてしまわないように注意しましょう。
自分のベランダ内ですべて収まるように配慮することが、他の入居者や管理会社とトラブルを起こさずにベランダ菜園を楽しむための大切なポイントになります。
また、植物の生育には日光が必要となりますので、自宅のベランダの日当たり状況も事前に確認しておきましょう。
ここからは、家庭菜園が初めての方にもおススメできる野菜をいくつかご紹介していきます。
赤くて美味しい「トマト」を育てよう
そのままでも食べられて、サラダや料理にも幅広く使えるトマトは家庭菜園で大人気の野菜です。
人気が高い野菜だけに、病気に強い種やとびきり甘い実が収穫できるものなど、苗の種類が豊富で進化したものが多いのも魅力。
トマトは大きさによって大玉・中玉・ミニと分かれますが、家庭菜園では少ない手間でも楽しめるミニトマトや、比較的大きな実が収穫できる中玉にとくに人気があります。
それでは、実際に中玉トマト1株をプランターで栽培する手順などを簡単に解説しましょう。
準備品はホームセンターや百均などで簡単に入手できますよ。
植え付け時期:4~5月
収穫時期:6~8月
用意するもの
- 中玉トマトの苗:1株
- プランター:トマトは背が高くなるため、直径30cm・深さ30cm程度の物が必用です。
- 培養土:植え付け時に必要な肥料がブレンドされている野菜用の培養土がおススメです。
- 鉢底石:メッシュの袋に入ったタイプだと、繰り返し使用もできて便利です。
- 支柱:支柱は150cm程度のもの。
植え付けの手順
- まずは、通気性や排水をよくするためにプランターの底に鉢底石を入れます。
- 培養土をプランターに入れます。ここで縁ギリギリまで土を入れると水やりの際に溢れてしまうので、3cmほどスペースを残しておきましょう。
- 土に穴を掘って苗を入れます。苗の根に付いた土は崩さずにそのまま植えるのがポイントです。穴に入れた後は、根の部分がしっかり隠れるように土をかぶせます。
- 苗を植えたら苗の横に支柱を立てましょう。ぐらつかないように、しっかりと土に差し込みます。植えたての苗は弱いので、麻紐などで支柱に誘引します。紐は8の字を作るように、支柱側はしっかりと、苗側はゆるめに固定すると良いでしょう。
- プランターの底から水が流れ出るくらいにたっぷりと水やりをしたら、植え付け完了。はねた水が葉にかかると病気の原因になりますので、水やりはプランターの縁から行いましょう。
トマトは「陽性植物」という日光を好む特性を持っていますので、植え付けが終わったら、なるべく日当たりの良い場所に置いて育てましょう。
水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと。
トマトには一定の水分が必要ですが、水のやり過ぎは根腐れの原因になってしまうので注意してくださいね。
和製ハーブの代表選手「シソ(大葉)」はいかが?
「う~ん、ウチのベランダ、日当たりイマイチなんだよな……」
そんな方も諦めるのはまだ早い!
野菜の中には、直射日光のあたらない日陰を好み、1日1~2時間の日照でも育つ「陰性植物」という種類もあるのです。
和食全般と相性が良く、薬味として非常に使い勝手の良いシソもそのひとつ。
新鮮なものほど香りがよいシソを家庭菜園で育てれば、採れたての格別なおいしさを楽しむことができますよ。
植え付け時期:4~5月
収穫時期:6~11月
用意するもの
- シソの苗:2~3株
- プランター:深さ15cm以上の物。植える苗の間隔が20cm程度必要になります。
- 培養土
- 鉢底石
- 化成肥料
植え付けの手順
- プランターに鉢底石と培養土を入れるまではトマトと同様です。
- 土を入れたら穴を掘って苗を入れます。苗同士の間隔は20cm程度離しましょう。
- 土をならし、プランターの底から水が流れ出るくらいにたっぷりと水やりをしたら、植え付け完了です。
植え付け直後は風通しの良い日なたに置いた方が良いですが、しばらくすると半日蔭に移しても育ちます。
2週間程経ち、本葉が7~8枚になったら化成肥料10g程度をまいて馴染ませます。
その後は1週間に1回ほど追肥をしてください。
草丈が15~20cmくらいになったら、主枝の先端をハサミで切り取る「摘芯」を行うと葉の数が増え、たくさん収穫できるようになりますよ。
草丈が30~40cmになったら、いよいよ収穫です。
下の葉を残して、上のやわらかく大きな葉から必要な分だけ収穫していきましょう。
収穫が始まったら、2週間に1回を目安に、化成肥料を10gほど追肥してください。
キッチンでも収穫できるリボべジ。ニョキニョキ育つ「豆苗」を楽しむ
そもそもお住いの管理規約でベランダ菜園は難しかったり、あるいは部屋の中やベランダに土を持ち込むことに抵抗感がある方もいるでしょう。
そのような場合は、キッチンなど室内でも簡単にできる「リボベジ」に挑戦してみてはいかがでしょうか?
「リボベジ」とは、リボーンベジタブルの略で、「再生野菜」という意味。
ゴミとして捨ててしまいがちな野菜の根や、ヘタなどを使って再び栽培することです。
代表的な野菜として、ネギ・人参・大根・キャベツなどがありますが、とくにお手軽に楽しめるのが「豆苗」です。
豆苗はえんどう豆の幼苗を食べる野菜で、スーパーにもよく並んでいますね。
食べる時は茎から切り離して使いますが、じつは残った根と豆を水につけて再生栽培をすると、もう一度豆苗の茎が生えてきて収穫することができるんです。
豆と根の部分が収まるサイズならば、容器もタッパーやペットボトルなどでOK。
順調に成長すると、育て始めてから7〜10日程度で収穫できます。
再生栽培をするには、最初に茎から豆苗を切り離す位置がポイント。
茎からひょっこりと脇芽が出ているやや上、目安としては豆から5~7cm程度離れた位置から切ってあげましょう。こうすることで新芽を育てるための成長点が茎に残るので、再生力が高まります。
また、水量の管理と水の交換も大切です。
カビや雑菌の繁殖を防ぐために、毎日1回は水を完全に入れ替えてあげましょう。
その際、豆が水に浸かると腐ってしまう原因になります。水位は根だけが水に浸かる深さにして、豆に水が達しないようにしてくださいね。
置き場所としては日当たりの良い室内が望ましいですが、直射日光は苦手。
レースのカーテン越しに日が当たる窓際などが理想的ですが、蛍光灯の光でも芽は伸びてくれます。
ぐんぐん伸びる様子を見ていると、無限に収穫できそうなイメージを抱いてしまいますが、家庭菜園で品質を保ったまま豆苗を再収穫できるのは2回が限度と考えられています。
つまり、一度スーパーで豆苗を買うと、頑張れば3回分おいしく楽しめる可能性があるということですね。
念のため再生した豆苗は生食は避け、加熱して食べるようにしましょう
「ハマった」ら誰もが長く楽しめる家庭菜園
いかがでしたでしょうか? いつでもスーパーで気軽に野菜を購入できる時代ですが、実際に自分で育ててみると、一部ではあっても農家の方の苦労を体感することになり、無駄にせず大事に食べたいという意識が生まれたりします。
また、毎日育っていく野菜を見ることに癒やしを感じる人も多いようです。
何より、多少小さくて形がいびつだったりしても、自分で手間をかけて育てた野菜を採れたての新鮮な状態で食べた時の喜びは格別。
いつもと同じレシピのはずなのに、料理の味が違って感じるほどです。
家庭菜園で採れた野菜はすぐに味わってみてほしいので、今回は初心者が育てやすい野菜の中でも、とくに収穫後の調理が簡単なものを選んでみました。
趣味として、老若男女問わず楽しめるのも家庭菜園の大きな魅力です。
まずはお試しに小さく始めてみて、自分だけの小さな農園で、素敵な時間を体感してみてはいかがでしょうか。